目次
タイトル・著者等
- タイトル:潜入ルポ amazon帝国
- 著者:横田増夫
- 編集:酒井裕玄
- 出版社:小学館
- 発行:2019年9月22日
- 読んだ時間:約10時間
なぜこの本を読んだか
じつはまーさんは物流業界におりまして、常々「Amazonの内部ってどうなっているんだろう」と疑問に思っておりました。
第三京浜を車で走るたびに見える【Amazon川崎フルフィルメントセンター】
毎日何千、何万と届く注文をさばくのに、どんな魔法を使っているのだろうか。
そんな時にこの「潜入ルポ amazon帝国」を本屋さんで見かけました。
”企業にもっとも嫌われるジャーナリスト”が現場潜入再び! なんて書いてあったら読んでみるしかありません。
Amazonの物流システムや、ピッキングを素早くこなす仕組み等が書かれていればいいな~、なんて思って読み進めていましたがところがどっこい。
- 著者が実際にアルバイトで勤務した【小田原フルフィルメントセンター】での過酷な労働
- 勤務中に亡くなった方の話
- クロネコヤマト・デリバリープロバイダのドライバーさんの運転席に同乗した話
- ヨーロッパでの移民が従事している事例
- 租税回避に心血を注ぐ企業体質
等々、なかなかショッキングな内容が目白押しでした。
実際に潜入して体験し、しっかり企業の突かれたくない部分を暴き出しています。
”企業にもっとも嫌われるジャーナリスト”なんて言われる理由がわかった気がします。
個人的な感覚ですが、国がどんなに対策しようとも、易々と租税回避している様を見るとGAFAに代表される超巨大企業が国家の権力を易々と越えてくる状況が、もうすぐそこまできているような気がします。
印象に残っている内容(要約)
小田原フルフィルメントセンターで5人亡くなっている
いきなりショッキングな内容です。
勤務中に様々な理由で人が亡くなることはありますが(熱中症や心筋梗塞等)、大勢の人が働いている状況を考えても多いような気がしました。
ましてや工事現場や製鉄所のような過酷な現場では無く、冷暖房が効いた倉庫です。
超秘密主義のAmazonなので、何層もの上長確認が入るため救急車を呼ぶまでに何十分もかかってしまったという記載もあり、ショックを受けました。
1日の歩行距離は20km
著者が万歩計を着けて一日の歩行距離を測ったところ、20kmとの事でした。
体力には自信もあったようですが、へとへとになったとのこと。
ピッキングをする際に使用するハンディターミナルには、作業者をせかすような(到底実現不可能とも思える)推奨ピッキング時間が表示されており、常に時間に追い立てられる・かつ体力的にも厳しい現場のようです。
フォークリフト競技会とか、トラック運転技術の競技会もあるので、Amazonピッキング世界大会とかあれば面白そうな気もしますが、この本のテンションで言ったら怒られそうです。
フェイクレビューの副業がある
Amazonで買い物をしているとやたらレビューが多いノーブランドの商品があり、不思議に思っていましたが、謎が解けました。
Facebook等でレビュアーを募集し、商品を購入してもらい、良いレビューを書いてもらい商品代金をペイパル等で返金してもらうそうです。
(商品は返金後、売却して小遣いに。)
こんな手口を考える方もすごいと半ば関心してしまいました。
私はやりませんけどね!
ドイツでは倉庫労働者のストライキもおきている
日本では企業ごとに労働組合をつくりますが、ドイツでは業種毎に労働組合をつくる仕組みだそうです。
(Amazonの労働者は”小売業”に分類され、物流業よりも最低賃金が約3ユーロ高いとのこと。)
ドイツでの労働者も日本と同じように、1日20km程度歩行し、ピッキング件数などが目標数値に届かないと個別面談となり、常に心理的なプレッシャーにさらされているそうです。
その改善を求め、労働者を組合に引き込み、ストライキを起こしているそうです。
労働者と企業が対等であろうとする姿勢がドイツらしいと思いました。
日本では組合活動に熱心です、というと白い目で見られる状況もありますが弱い立場の労働者には頼もしいんじゃないかと感じました。
まとめ
まーさんも2年以上のプライム会員で、月に5回~6回はAmazonを利用します。
土日にはプライムビデオで映画も見るし、Kindleでマンガも読んでいます。
今の便利な生活にAmazonは欠かせないインフラとなってしまっていますが、
その陰で過酷な労働を強いられている人や、租税回避を行い一企業が国家権力をもしのぐように超巨大化してる状況があります。
「別にそこまでしろとは言っていない」とまーさんも思いますが、資本主義というゲームのルールを突き詰めていくと、こういう事が起こりえるんだろうなと思っています。
かといって、何か打開策を持っているわけでもないですが。
便利に使わせてもらっているAmazon(様)が、なにか得体の知れない怪物のようにも感じられるような、そんな感覚になる本でした。
レビュー
Amazonさん怖い度
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